アラサー夫婦、京町屋を買う

明治期の京町屋を契約しました。築100年以上、さあ、どうしよう

たかが建ぺい率、されど建ぺい率、買えない中古物件編【中古住宅→新築注文住宅→京町屋、全てを通ったわたしたちが通ります①】

家探しをはじめたきっかけは、むすめの同級生Aちゃんを預かったときのことでした。

Aちゃんのお母さんが落語を見にいきたいと言うので、我が家でむすめさんを預かり餃子を作ることになったのです。

とはいえ、このご時世、落語は結局中止になりました。しかし、おませなAちゃんはすでにひとりで友だちの家で過ごす覚悟を決めていたのです。強い意志でお母さんは来ないで、と宣言し、予定通り我が家に遊びにくることに。お母さんには一人の時間を楽しんでいただくことにしました。

我が家の面々もむすめの友だちが1人で来る、という珍しい出来事に浮き足立ち、わたしは掃除機で床掃除を、夫は買い物袋を引っ提げて餃子の下準備を、むすめはいつもより気合のはいったおもちゃの選別を、とてんやわんやの大騒ぎでした。

そうしてAちゃんを迎えたときにはみんな心の準備はバッチリでした。

とはいえ、4歳児が2人揃うともう大変。あっちにこっちに走り回り、夫と夜な夜なしていたポケモンカードも引きずり出され、あっという間に時間は進みます。

餃子をたらふく食べて箸の進みがとまったころ、Aちゃんのお母さんがケーキを携えて戻ってきました。

みんなでケーキをつつきながら、Aちゃんのおうち事情を聞きます。

Aちゃんのおうちに遊びに行ったことがあり、とても素敵なおうちだと知っていたので、さぞかしお高いんでしょう、と話を聞いてみたところ、ローンの返済額はなんとうちのアパートよりも安く、あらあらあら、あんなに素敵なお家が?そんな価格で?あらあらぁとなり、わたしと夫はすっかり持ち家に心を向けられてしまったのです。

そうして、すっかり夜は深け、Aちゃん親子は帰ることになりました。見送ったAちゃん親子の背中が視界から消える前に、わたしはソッコーでsuumoを開き、希望の条件「京都市 左京区」で中古物件検索したのです。

無数の中古物件を「価格が安い順」に並び替え、築年数が30年未満のモノを対象に上から順に見ていきます。いくつか見ていくうちに、なんだか素敵そうで、異様に物件情報がくわしい住宅が目に留まりました。

ここだ、と思い、すぐさまお問合せをかけ、翌日の連絡を待つべく眠りました。

そして翌日、メールボックスを開くと不動産屋さんから連絡が来ており、早速内見の日を決めます。

ママチャリで東一条通を駆け抜け、着いた先にあった家は、サイズ感も親子三人にぴったり、再建築も可能で、トイレや浴槽のタイルにも意匠が凝らされており、もちろん価格もミニマルな素敵なおうちでした。

数千万円の商品を前に姫になってしまったわたしは「まぁここがいいわ」と前向きな態度を示します。

すると不動産屋さんはローンの審査をしましょう、お二人とも正社員、ダブルインカム、ローンは余裕です、とかましてくださったので、「では夫を連れて内見ののち、合意が取れればローンの申し込み用紙をお持ちしますわ」と姫のわたしは提案します。

そうして連れていった夫もまんざらでもない様相で、あらあら、あっさり家決まっちゃったかしら、うふん、なんて思いながら威風堂々、ローンの申し込み書類を提出します。

1週間後、不動産屋さんから連絡が来ました。

すいません、ローンダメでした……

えっ?頭がまっしろになります。

ローンは年収の4倍未満、余裕のはず……もしかして、ブラックリスト?いや、そんな記憶は……なんてぐるぐる考えながら不動産屋さんにローンに落ちた理由を聞くと、

物件の建ぺい率がオーバーしていて……

ということでした。

たかだか建ぺい率、ガタガタいうな、fuck the 建ぺい率!!!

姫なのにさまざまな罵倒が浮かびましたが、大人ですのでなんとか堪えました。

その後も物件を見続け、一見建ぺい率を満たしており、減築プランを出すことで容積率も満たせそうな京町屋風の大きくて素敵な中古物件をみつけ、そちらもローンを申請してみました。数年前にもローンが通った履歴があり、ここは行けそうですよ、と言っていただきましたがそちらもローンに落ちてしまいました。

唇を噛み締め、なぜ、と問うと、セットバックが必要な物件でセットバック分を差し引くと建ぺい率をオーバーするというのです。

fuck the セットバック。

調べてみると2018年のスルガショック以降、比較的建ぺい率、容積率にも寛容とされていた関西の地銀でも、建ぺい率、容積率を厳密に審査するようになったそうです。

しかし、土地の値段が高騰し、建ぺい率を明らかにオーバーしたぎちぎちの家が立ち並ぶ京都で課される建ぺい率60%はあまりにも酷ではないでしょうか?

そんなことを思いますが、恨んでも仕方ありません。お値段も手頃で魅力的な物件が多数ありましたが、安いには訳がある。ここでわたしたちは築30年未満の中古物件の可能性を捨てました。

さようなら、全ての違法建築。

わたしたちの家探しはこれからだ!